あらすじ
地球から火星への移住者8000人を乗せた、宇宙船アニアーラ号。
火星への旅は1か月もないはずだったが、旅の途中で宇宙ゴミが衝突。
燃料を放棄し、宇宙船の航路も火星から逸れてしまい遭難してしまう。
そのためアニアーラ号は行き先のない永遠の旅をすることになってしまう。
そのような状況下でのアニアーラ号に乗る8000人の行動と精神状態を描く。
感想
事前に救いのない結末、内容であることは知っていたが実際そうであった。
希望と思っていたものが、そうではなかった。みたいなことが終わりまで続いていく映画。
苦手な人は苦手かもしれない。
映画を観た人の感想をネットで読んでいると、「宇宙ゴミひとつあたったぐらいで、燃料放棄しないといけないって惑星間航行をする宇宙船なのにどんな設計だ!」みたいな意見もあったが、意外と現実的だと思う。
ついこの前はタイタニック号見学ツアーに向かった潜水艇が行方不明となって、残骸で見つかったことだってあったが、その潜水艇も設計不備が指摘されていたようだ。
我々が当たり前のように、そこは考慮されているよね、システマチックになっているよね、と思っているようなことが実は全然そんなことはないなんてことはある。
なので、人間が宇宙に出れる技術力があるから、宇宙ゴミにぶつかって操舵不能ですなんてあり得ないよね、なんてことはあり得ないと思う。
推進用の燃料と、艦内の生活用の燃料?(電源?)が分かれているのが妙にリアルというか、そこは冗長化しているのかという感じだ。
遭難した人々は希望もないまま艦内で生活することになるので徐々に宗教的になったり、享楽的な暮らしする人も出てくる。
希望や目的はなく、生活の質は下がるのだから個々人のメンタルや社会が不安定な状態になるのも無理はない。
自分がアニアーラに搭乗することになったらどうなるだろうか、意外とうまくやれるのか、はたまた頭がおかしくなるか。
仏教的に「今を生きる」ということに集中できればいいのだと思うが、難しそうだ。
宇宙においては、人間の行動なんてコップの中の泡ぐらい意味のないことなんだ、そう感じさせるような映画でした。
※劇中には裸体、性的なシーンもちょこちょこあるのでそのような描写が苦手な方は避けたほうがいいです。