世界を照らす者は、己の身を焼かなければならない。
ヴィクトール・フランクルのこの名言から映画は始まる。
ホドロフスキーも、DUNEも知らない状態で見始めたけど、
この始まりで、この映画は絶対面白い!と惹きつけられた。そしてそれは正解だった。
この映画は映画監督ホドロフスキーが人類にとっての預言書となる映画を作るべくSF小説『DUNE』を映画化しようとする...ことができなかったことに対するドキュメンタリー映画だ。
ホドロフスキーの「DUNE」は未完の映画にも関わらず、
こうしてドキュメンタリー映画が作られ、語る皆が情熱を持って話す。
それはホドロフスキーに対して、DUNEに対しての熱だろう。
ドキュメンタリーの中で当時のことを語るホドロフスキーその人の語り、その目、DUNEへの情熱。
才能を持つ人々を惹きつけ、チームに入れることができるのも納得だ。
もちろん、ホドロフスキーの才能を見つけ引き入れる力もすごい。
世界を変えるには狂気が必要。とのことだが、もちろんホドロフスキーにもそれがある。
映画の役へとふさわしくするために息子に厳しい訓練を受けさせた話がある。
息子自身も「辛い訓練をさせられた」と語っている。
ホドロフスキー曰く、創造力を解放させたかったとのこと。
また、こうも語る「もし当時映画のために息子の腕を切り落とす必要があったなら喜んで切っていただろう」。
これはまさしく狂気である。情熱が生み出した狂気。
ここまでの情熱を注いだものが完成できないとなったときの口惜しさはどれほどのものだろか。
それを思うと、この文章を書きながらも目が潤む。
世界を照らす者は、己の身を焼かなければならない
最後まで見ればこの言葉が映画の冒頭で語られるのにも納得だ。
自分自身太陽のようにエネルギーを持ち、周りにそのエネルギーを与えれば世界を変えることができる。
それと同時に自らを松明にし最後には灰と化す可能性をもはらむ。
DUNEに対するホドロフスキーを表しているかのようだ。
そんな成功と失敗の表裏一体の運命でも「YES!」と受け入れ進んでいく勇気をくれる映画だ。
失敗しても構わない挑戦するんだ。
今、なんだか分からないけど立ち止まっているような違和感を持つ人におススメの映画でした。
Amazon Prime対象作品なので、未見でAmazon Prime会員の方は是非。
ホドロフスキーの作品と『DUNE』の原作もみたくなった。